一級建築士の製図試験は、
「作図がきれいか」「図面が早いか」で決まる試験ではありません。
実際には、
エスキスの段階で、合否の8割は決まっている
と言っても過言ではありません。
この記事では、
なぜ製図試験はエスキスで合否が決まるのかを、
作図・本番以前の思考段階に絞って整理します。
エスキスとは何をしている時間なのか
エスキスは、
「配置・ゾーニング・動線・ボリューム・構造・設備」を
一度に矛盾なく成立させるための設計判断の時間です。
ここでの判断が曖昧なまま作図に入ると、
- 後からゾーニングが破綻する
- 設備や構造が収まらない
- 記述と図面が食い違う
といった修正不能なズレが生まれます。
製図試験は、
修正できない判断をどれだけ減らせたか
を見られている試験です。
合格者のエスキスが「浅くならない」理由
合格者のエスキスには、共通点があります。
- 早く終わらせようとしていない
- 「仮」で進める判断が少ない
- 後工程を見越した決定をしている
一方で不合格者は、
- とりあえず描けそうな案を置く
- 作図で何とかなると思っている
- 根拠のない配置をしている
結果として、
作図中に迷いが発生し、時間と整合性を失う
という流れに陥ります。
エスキスで決まる3つの評価ポイント
① ゾーニングと動線の一貫性
ゾーニングが破綻している案は、
どれだけ丁寧に描いても評価されません。
- 利用者動線が成立しているか
- 管理動線が無理なく通っているか
- 動線同士が干渉していないか
これらはすべて、
エスキス段階でしか整理できない要素です。
② ボリューム・構造・設備の成立性
後から調整できると思われがちですが、
- 構造グリッド
- 設備スペース
- 階段・EVの位置
これらは、
最初のボリューム判断で8割決まります。
エスキスが甘い案ほど、
作図で破綻します。
③ 記述に耐えられる設計意図
記述は「後で考えるもの」ではありません。
- なぜその配置なのか
- なぜその動線なのか
- なぜその構造なのか
これらを説明できない案は、
図面が完成しても評価されません。
作図がうまくても落ちる人の共通点
作図スピードが速くても、
エスキスが弱い人は落ちます。
特徴は以下です。
- 作図中に修正が多い
- 記述が抽象的になる
- 最後に図面が破綻する
これはすべて、
エスキスで判断を先送りした結果です。
作図中に取り返せない判断とは何か
作図中に取り返せないのは、
- 配置計画
- ゾーニング
- 動線の骨格
です。
寸法ミスや描き忘れは修正できますが、
計画そのものは修正できません。
だからこそ、
本番ではエスキスが最大の勝負所になります。
エスキスが安定すると何が変わるのか
エスキスが安定すると、
- 作図が迷わなくなる
- 記述が自然に書ける
- 本番で焦らなくなる
結果として、
試験全体が「作業」になります。
これは才能ではなく、
考え方と順序の問題です。
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